つれづれ

カーリさん講演 共感の輪大きく広がる

2024.4.21

 4月22日にはジュンク堂池袋本店でトークイベント。東京での講演はこれが最後。

私はカーリ、64歳で生まれた』の著者、カーリ・ロースヴェルさんの話を聞く会」が4月18日、東京工業大学(東京都目黒区)で開かれた。第二次世界大戦中、ナチスによるアーリア人増殖(レーベンスボルン)計画によって生まれたカーリさんは、「戦争では女性と子どもが一番被害を受ける。いまウクライナや中東で起きていることには心が痛む、早く平和になってほしい」と訴えた。

会場の同大「つばめテラス」には、報道関係者を含む約100人が出席。夫スヴェンさん、息子のローゲルさんも同席した。カーリさんはノルウェーで生まれ、スウェーデンで育ち、今はアイルランドに住んでいる自分の半生を語り、どうして64歳になるまで自分の出生が分からなかったのかを説明した。会場からはアーリア人増殖計画の背景、実の母への思いなどが質問され、「当初は寂しく思ったが、戦後ドイツ協力者として迫害された実母の過去を知って、理解できるようになった」などと答えていた。

カーリさんは翌19日、港区立御成門中学校を訪れて話し、3年生93人が熱心に耳を傾けた。カーリさんは、生後1か月の自分の写真を示しながら、「生まれて10日ほどでドイツに移送された。ミルクは与えられたけど、抱っこしてくれる人はいなかった」「(ドイツが負けて)赤十字の白い車が来てスウェーデンの孤児院に送られ、(毒性が強い農薬の)DDTでシラミ退治された」「入学した日に先生たちから『スウェーデン人じゃない』といじめられたけど、子どもたちは優しくしてくれた」などと話した。

 生徒からの「暗い過去はだれでも振り返りたくないのに、それを話すようになったのはどうしてですか」との質問には、「大変だったこと、悲しい思い出を語るのは、あなたたちのような次の世代に伝えることで間違ったことをしてほしくないためです」と答えていた。

カーリさんは22日(月)午後7時から、ジュンク堂書店池袋本店(JR池袋駅東口徒歩3分)9階イベントスペースでも講演します。入場料2000円(当日払い)、申込みは同店(03-5956-6111)へ。首都圏で話す最後の機会です、どうぞご参加ください。