つれづれ

ワー、まるでミニ東京駅だ! 
「新1万円札の顔」渋沢栄一ゆかりの地、埼玉県深谷市探訪

2023.12.3
2024年度、40年ぶりとなる新1万円札登場まで半年余り、その顔となる渋沢栄一の地元として注目を集めている埼玉県深谷市を訪れた。JR東京駅から普通電車で約1時間20分、深谷駅で降りると驚いた。赤レンガ、白い窓、丸い塔…駅舎がまるでミニ東京駅(丸の内側)なのだ。

深谷駅

大正時代に竣工した東京駅丸ノ内駅舎には、深谷市内の日本煉瓦製造会社が製造した赤レンガが鉄道で運ばれ、歴史ある風格を漂わせている(2012年に修復工事完了)。そのため、深谷駅を1996年に改装する際に東京駅の外観を模したとのこと。駅前広場には渋沢栄一翁の銅像が立ち、駅舎を見上げている。

渋沢は江戸時代末期の1880年、武蔵国血洗島村(現・深谷市)に生まれた。生涯に銀行や鉄道会社など500社以上の創設にかかわっただけでなく、東京証券取引所や日本商工会議所を創設するなど“日本資本主義の父”と言われている。日本煉瓦製造会社も渋沢が創設した企業の一社だ(2006年、太平洋セメントの子会社に)。

新1万円札などのデザインがリニューアルされるのは2024年7月前半。初めて1万円札が発行されたのは高度成長期を前にした1958年で、初代の顔は聖徳太子だった。2代目・福沢諭吉は84年に発行されたから渋沢は実に40年ぶりとなる。ちなみに同時に刷新される新5000円札の顔は女子教育の津田梅子、新1000円札は破傷風研究で業績をあげた北里柴三郎だ。

 深谷は江戸時代に中山道の宿場町として栄え、今は深谷ネギなどの農産物で知られる人口約13万9000人の街。市内には渋沢栄一記念館、旧渋沢邸「中の家」、青淵公園(青い淵は渋沢の雅号)、旧煉瓦製造施設などゆかりの施設が多くある。入場無料の記念館では渋沢ゆかりの品が展示されているほか、国内でも数体しかないアンドロイドが道徳と経済の両立を説く(事前予約が必要)ので、これは一見の価値がある。渋沢で盛り上がる同市のお土産として1万円ならぬ「1億円クッキー」を見つけました。食べるのはもったいない気がしそうですが…。

渋沢栄一の哲学を見直す新刊『渋沢イズムでニッポン元気復活!』は12月12日発売です。