つれづれ

【本のある場所:1】本と自然を体感する 福岡市・LUMO Books

2025.6.9

 福岡市中央区・市営地下鉄六本松駅周辺は、古くからの住人とマンション群、個人経営の個性的な飲食店や本と雑貨のTSUTAYAなどが集まっています。駅から、住宅地へ進み急な坂を上がるところにあるのが「LUMO Books」。金土日のみ営業する古書店です。15年間、繁華街で営んでいた店舗がビル取り壊しで閉店となり、2年前にこの場所へ移転。オーナーはグラフィックデザイナーとイラストレーターのお二人で、今の店舗はもともとおばあさんが一人で住まわれていたという古民家をリノベーションしたものです。

 1階と2階には、生きものや植物、昭和の児童書、博物学など懐かしい本が並びます。本のほかにも、土間の中心にはデシケーターを使った苔のテラリウムが置かれ、シャーレやフラスコ、鉱石、博物画など理科の実験室を思い出させる品々も販売されています。

 道路から店舗へ向かう敷地の坂道は街中とは思えないくらい緑に囲まれ、手堀りの池やニホンミツバチの巣箱もあります。巣箱では、ハチたちの巣づくりや引っ越しなどが観察でき、オーナーの楽しみになっているそう。

 民家を改装したたたずまいをはじめ、扱われている本の数々や博物学へ思いを馳せ、オーナーのセンスと自然に関わる遊び心あふれた書店です。