つれづれ

「ネット株手帳2024」 筆者から「最新の株式情報」

2023.10.24

 「ネット株手帳2024」が11月1日発売されます(amazon限定)。ロングセラーの『石橋をたたいて渡るネット株投資術』を実践する手帳で、今年で5年目になりました。筆者の三橋規宏さん(経済・環境ジャーナリスト)から、ネット株手帳を活用いただいている&興味をもたれている皆さまへ、最新の株式情報が寄せられました。

新NISA、メリットが大幅に拡大

政府は来年(2024年)1月1日から新しいNISA(小額投資非課税)制度をスタートさせます。現行制度では、株式や投資信託の売却益、株式の配当金、投信の分配金には20%強の税金かかります。たとえば、株式投資で年間20万円儲けても約4万円が税金でとられてしまいます。NISA口座を開設すれば20万円そっくり手に入ります。新NISAの投資枠は最大1800万円(成長枠は1200万円)へ拡大、生涯非課税になるので従来のNISAと比較して大きなメリットがあります。
政府がNISAを大幅に改善、投資魅力を加えた理由は、家計部門の巨額の貯蓄を投資に振り向けることで、経済活動を活発化させる狙いがあります。
日本の家計の金融資産構成を欧米と比べると、現金・預金比率が圧倒的に高くなっています。日銀資料によると今年3月末現在、家計の金融資産総額は約2043兆円。このうち半分強の54.2%を現金・預金が占めています。株式比率は11.0%、投資信託は4.4%に過ぎません。これに対し、アメリカは現金・預金比率はわずかに12.6%。逆に株式比率は39.4%、投資信託11.9%です。ユーロ圏は現金・預金と株式、投資信託などの割合がそれぞれ3割強です。
日本の場合、1000兆円を超える金融資産が現金・預金のため、新規工場建設や研究開発部門に十分お金が回らず、経済が低迷しています。アメリカ並みは無理としても、せめて現・預金の3~4割程(約300~400兆円)が投資に振り向けられれば日本経済は元気を取り戻し、再び成長路線に復帰できるはずです。新NISAにはそんな政府の願いが込められています。
また、ネット証券最大手のSBI証券と2位の楽天証券が9月末以降、日本株の売買手数料の無料化に踏み切りました。無料化は国内証券会社で初めてで、新NISA開始を前に個人投資家を呼び込む狙いがあります。
(注=新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類ありますが、ここでは「成長投資枠」を主に対象にしています)

優良企業、相次いで株式分割

新NISA制度のスタートを前に、企業の株式分割の動きが活発になっています。現行の株式取引の最小取引単位は100株です。株価が1万5000円なら、150万円用意しなければなりません。購入したい銘柄でも価格が高過ぎ、余裕資金の少ない個人投資家はなかなか手が出ません。
そこで多くの優良企業が株式分割に乗り出しました。分割すれば株価は下がります。1株1万5000円の株式が3分割されれば、新株の価格は5000円になります。150万円は無理でも50万円なら用意できる個人投資家は少なくないでしょう。企業も、新NISA導入を機に多くの個人投資家に自社株を保有してもらいたいと願っているのです。
図は日経新聞(10月1日付)に掲載された「10月1日に株式分割する主な企業」一覧です。図からも明らかなように、ホンダは3分割したので、最低投資額は52万円から17万円に低下しました。5分割のJR東海は188万円が36万円で購入できるようになりました。株式分割する企業は今後さらに増える見通しです。

10月1日に株式分割する主な企業

社名分割数最低投資額
ホンダ352万円→17万円
デンソー4101万円→25万円
村田製作所381万円→26万円
JR東海5188万円→36万円
アドバンテスト4164万円→40万円
ヤクルト本社275万円→37万円
ローム4115万円→28万円
マツキヨココカラ
&カンパニー
381万円→26万円
SCREENホール
ディングス
2146万円→73万円
(注)最低投資額は分割前が9月27日終値、分割後は同28日終値をもとに算出。1万円未満切り捨て

ネット株手帳を活用してほどほど利益を

ネット株手帳をお使いの皆さんは、新NISA制度をフルに活用する一方、配当金や適正価格(購入しやすい価格)、成長力などを勘案しながら手帳記入を続け、あなたなりの相場観を養成してください。欲張らず、楽しみながらほどほど利益を確保されることを願っています。            

(三橋 規宏)

◆「ネット株手帳2024」はA5判、76ページ、定価1100円+税。
 amazonでお申し込みください。