つれづれ

校則や教師の仕事から“ブラック”を払しょくしよう!

2022.3.29

ブラック校則、おかしいだろう!

ようやくだけど、一歩前進とはいえる。新聞やネットニュースでご存知の方も多いだろうが、東京都立高校(中高一貫校含む)196校の大半の課程で「ブラック校則」が、新年度から廃止される。2017年に大阪府立高校での女子生徒に対する黒染め強制が裁判となり、「ブラック校則」の理不尽さが問題になってから5年、校則見直しの動きが徐々に広がっている。

廃止されるのは▽頭髪の黒染め▽下着の色指定▽(髪を刈り上げてすっきり見せる)ツーブロックの禁止▽問題を起こした生徒の自宅謹慎▽“高校生らしい”などあいまいな表現による指導――の5点。都教委の求めに応じて各校で教師、生徒、保護者が話し合って結論を出したことは評価できる。「ブラック生徒指導~理不尽から当たり前の指導へ」(海象社刊)の著者、川原茂雄さんは「根本的に見直さなければならないのは、校則の中のいくつかの決まりではなく、学校側が一方的に校則を決めてそれを生徒に押し付ける“システム”そのものではないか」と指摘している。

さらに問題の本質は、ブラック校則を受け入れて育った生徒が社会に出た時に、長時間残業やパワハラなどの“ブラック”も受け入れてしまうことにあるのではないか。「それはおかしい!」と言える力を育てるべき教育の場が、“上”に従い我慢する考え方を生徒に押し付けてきたことがより深刻といえる。

「教師ブラック時代」を生き抜くために―出版

「かわはら先生の教師入門~ 『教師ブラック時代』を生き抜くために」

「ブラック生徒指導」で高い評価を受けた川原さんが今度は、「かわはら先生の教師入門~ 『教師ブラック時代』を生き抜くために」(明石書店刊、本体定価2000円)をこの4月に出版する。

川原さんは北海道の高校で35年半教師をして、今は札幌学院大学人文学部人間科学科教授として教師を目指す学生たちを指導している。残業代もきちんと支払われない長時間労働やパワハラなど教師という仕事にブラックな要素が山積しているのが現実。それでも、教師になりたいという学生たちに向けて書かれた同書は、教師という仕事の“ガイドブック”といえる。「教師の世界に入って、見てきたこと、聞いてきたこと、やってきたこと、やらされてきたこと、良かったこと、良くなかったこと、楽しかったこと、苦しかったことなど仕事のブラックな側面も含めて、ありのままに書いたつもり。学校現場で働いてきたものだからこそ書ける“教師の仕事の世界”についての本を目指しました」。川原さんはそう話している。教師を目指す君、教育に関心があるあなたにぜひ手に取ってほしい一冊だ。