つれづれ

ロシアによるウクライナ侵攻に抗議し、即時撤退を要求する
一般社団法人 日本出版者協議会(出版協)

2022.3.10

 ロシアのプーチン大統領は、2月24日、ウクライナ国内のロシア人を保護することを名目に、ウクライナにロシア軍を侵攻させた。さらに、「ロシアは世界で最も強力な核大国の一つだ」とウクライナを恫喝した。これは世界を核戦争の危機に陥れる発言である。
 このような行為や発言は、いかなる理由をもっても正当化できるものではない。
 また、プーチン大統領は、ロシア国内の報道機関に対して、ロシア軍によるウクライナでの軍事行動について、「攻撃」「侵略」「宣戦布告」とする表現を使った場合「虚偽情報の流布」として、その削除命令を出し、従わない場合は、高額の罰金を科すことまでして、報道機関に圧力をかけている。さらに、ロシア軍に関する「偽情報」や「信用失墜を狙った情報」を広めた場合、最大で禁錮15年という重罰を科す改正法案に署名した。これを受けて、英公共放送BBCが、職員の安全が保障できないとしてロシアにおける記者らの業務を一時停止することを明らかにするなど、日本を含む各国の報道機関がロシア国内からの報道を一時的に停止している。
 このように、ロシア政府は言論の自由をますます制限することに力を入れている。
 戦争は言論、出版の自由を弾圧することからはじまり、言論、出版の自由を蹂躙するものである。
 出版協は、言論、出版及び表現の自由の擁護を目的とする団体として、このほどのプーチン大統領によるウクライナ侵攻に断固抗議し、即時停戦とウクライナからのロシア軍の撤退を強く訴える。

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  出版協は、出版の自由の擁護や出版物の公平・公正な流通などによって出版文化の向上と社会の発展に寄与することを目的とした法人で、海象社を含めた73の出版社が加盟しています(今年3月現在)。海象社は政治とは距離を置いてきましたが、ロシアによるウクライナ侵攻は見過ごせない問題と考えて、出版協が3月7日に出した声明を、了承を得て転載しました。

 第二次世界大戦が終結して77年、その間、各地で紛争や地域的戦争が絶えることはありませんでしたが、核巨大国が「全面核戦争も辞さない」と脅して、主権国家に侵攻したのは初めてです。全面戦争は絶対避けるべきですが、海象社は「それを避けるためにはウクライナの降伏しかない」とは思いません。核や軍事力の脅迫が有効になり、言論・表現の自由が認められない社会につながってしまうことを恐れるからです。

  今回の問題は2国間の紛争ではなく、ロシアによる一方的な軍事侵攻です。ウクライナの人たちを非軍事的に支援するには、経済面などでより強力な制裁をロシアに科すしかありません。制裁には反作用があり、エネルギー危機など多くの弊害が日本社会に予想されますが、基本的人権が尊重された平和な社会に向かうためにはやむを得ないのではないでしょうか。