つれづれ

そんなのダメだよ……いま言わねばならない

2020.10.12

 日本学術会議が推薦した新会員候補105人のうち、政府が6人の任命を拒否したことが大きな問題になっている。海象社も加入する(一社)日本出版者協議会は10月8日、「任命拒否は憲法が保障する学問の自由や表現の自由を侵害する重大な権力乱用であり、拒否理由を速やかに回答し、拒否を撤回するように求める」との声明を出した。その通りだと思う。

 日本学術会議は行政・産業・国民生活に科学を反映、浸透させることを目的に1949年に設立された。内閣府の所轄だが政府から独立した“特別な機関”であり、国内の科学者約87万人を代表して政策提言や科学者間ネットワークの構築などを図る。運営は210人の会員(特別職の国家公務員、ただし会合出席手当のみ)と約2000人の連携会員によって主に担われている。

 学術会議が正規に選んだ候補を認めないのは前代未聞のこと、しかも菅内閣は拒否理由を「俯瞰的、総合的に決めた」と繰り返すだけだ。それだけでなく「学術会議の改革が必要だ」と脅しをかけ、テレビやネットには「会員OBは死ぬまで250万円の年金をもらえる」「6人は学者としてのレベルが低い」などのデマ情報が流れ、拡散されている。あまりに卑劣だ!

 安保法制のために内閣法制局長官の首をすげ替え、森友・加計学園問題、桜を見る会など数々の疑惑にフタをするため検察人事に介入しようとした安倍長期政権、その体質を受け継いでの任命拒否というしかない。民主主義社会の基本は互いの尊重にあるはずだ、不都合と判断したなら理由をきちんと示して是正を求めればいいのに、それをしないのは批判的な学者の“パージ”としか思えない。

 これは政治の問題ではない。心豊かに、互いを尊重する社会を願う海象社として、この任命拒否はその願いを踏みにじるものとして見過ごせない問題だ。