つれづれ

「千住宿400年」を文化遺産で祝す

2025.11.11

東京都足立区の北千住駅近くにあった千住宿が今年開宿400年を迎え、千住宿を、そして地元の魅力を見直す動きが活発だ。その一つ、地域に伝わる文化財を集めた「文化遺産調査特別展 千住宿400年」を開催している足立区郷土資料館を訪れた。

 千住宿は「江戸4宿」の一つで、日光街道の最初の宿場町として寛永2(1625)年に開宿した。奥州街道、水戸街道の分岐点でもあり、幕末期には2400軒の建物が並び、約1万人が暮らす江戸4宿(他は東海道・品川宿、甲州街道・内藤新宿、中山道・板橋宿)では最大の宿場町として栄えた。「実は旅籠は少なく、商家と職人の町だったのです」と同館学芸員の多田文夫さんが説明してくれた。「旅人の多くは(千住を通り越して)草加や越谷まで行って泊まる。それより、千住は荒川を利用した水運、千住大橋架橋による陸運に恵まれ、江戸に物資を運び込む中継地として多くの問屋が軒を並べていた」「多くの人が行き交い、当時の人別帳を調べると住民の半分は他地域出身だった」。

 写真:展示されている復元模型

なるほど、よそ者に寛容な雰囲気は今に引き継がれているようだ。

 展示文化財の中でも、特に注目は「千手(せんじゅ)観音立像御前立(おまえだち)」(勝専寺蔵)。同寺には、千住の地名の由来になった秘仏・千手観音がまつられているが、信者がお参りできる像(御前立)として東京芸術大学・藪内佐斗司名誉教授が2023年に手がけたもので、今回が初公開。両側にある計40本の脇手がそれぞれ25の世界を救うとされる。

 他には、高さ7・5メートル、豪華絢爛な氷川神社山車や日光祭礼式絵巻なども展示されている。同展は26年1月11日まで。同館は原則月曜休館、高校生以上200円。詳細は同館へ(TEL:03・3620・9393)。