つれづれ

2025年末の株価予想……5万円越えはちょっと無理か。---年末にかけての株価の動きを『ネット株手帳2026』筆者の三橋規宏氏(日経新聞社元論説副主幹)に探ってもらいました

2025.10.19

『ネット株手帳2026』筆者の見通し

 2025年8月に史上最高値を更新した日経平均はその後も最高値更新を重ね、高市早苗自民党新総裁誕生が拍車をかけました。今年ももう3ヶ月を切りましたが、年末にかけての株価の動きを『ネット株手帳2026』筆者の三橋規宏氏(日経新聞社元論説副主幹)に探ってもらいました。

▽2ヶ月で12回も最高値更新

 株価見通しを1年以上の長期と1年以内の短期に分けると短期の方が断然難しいと思います。長期の場合は経済成長率や労働生産性、技術革新動向など比較的長期の経済指標が参考になりますが、短期の場合は自分の“勘に頼る”以外、妙案がないからです。株価に影響を及ぼすニュースは毎日洪水のように流れ込んできます。政府要人や日米中央銀行総裁の発言はもちろん、米国の暴れ大統領・トランプ氏の関税大幅引き上げ発言にも振り回されました。大地震や酷暑の影響なども無視できません。

 2025年前半の日経平均株価は7月ごろまでは3万1000円〜4万円と、大方の予想範囲内で落ち着いて推移していました。異変が起きたのは閑散月のはずの8月からです。この月の初めは4万円程度だったのが、中旬から4回、史上最高値を塗り替えました(同月の終値最高値は18日の4万3714円)。さらに、9月に入ると最高値を8回も更新し(同月25日の終値は4万5745円)、わずか2ヶ月で計12回も最高値を更新したことになります。過去に例のない急伸です。米FRB(連邦準備制度理事会)の9ヶ月ぶりの政策金利の引き下げやトランプ高率関税の是正などを好感しての上昇です。

▽サプライズの高市新総裁誕生で加速

 これだけ急テンポの上昇に対して市場の加熱感が強まり、「10月は一休み」と見られていた矢先、財政積極論者の高市早苗自民党新総裁が誕生しました。小泉進次郎氏が本命視されていただけにサプライズでした。

 総裁選明けの同月6日の外為市場では円安が大幅に進み、株式市場は日経平均が前週末終値比2175円高の4万7944円まで急上昇。債券市場では超長期金利が上昇(債券価格が低下)するなど関連市場に大きな変化がみられました。金融緩和と財政拡大主導の彼女の政策スタンスを先取りして、為替、株式、債券市場とも強く反応したことに対し、マスコミは「高市トレード」と名付けました。株高の恩恵はあるにせよ、過度な円安は原油や食料の輸入価格を上昇させ家計を圧迫します。超長期金利の上昇は、長期国債発行の足かせとなり、財政悪化を加速させかねません。「高市トレード」の舵取りをよほどうまくやらないと、日本経済はインフレと財政悪化で失速しかねません。

▽年末株価は4万9000円台か

 年末の株価予想ですが、「高市トレード」の動向に加え、日米中央銀行が実施する政策金利の引き下げ、引き上げにも大きな影響を受けそうです。米FRBは年末までに政策金利を0.25%刻みで2回引き下げ、日銀は0.25%引き上げを1回というのが市場の見方です。市場の強気派は年末株価5万円越えを予想しています。一方、国内の政治的安定は当分見込めないだけでなく、気まぐれトランプ大統領の関税政策関連の発言、さらにロシアのウクライナ侵略戦争、中東情勢など地政学的リスクも無視できません。先行き不透明な案件が山積しています。野村証券や大和証券は、年末株価を4万9000円台と見ています。筆者も年内5万円台乗せは難しく、来春以降と予想しています。                                                      

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