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スロヴァキア熱

ーー言葉と歌と土地ーー

石川晃弘 著

この熱は新手の流行り病ではありません。

病膏肓に入るの熱です。

通いも通ったり、スロヴァキア通い40年。

ベテランの社会学者が書いたスロヴァキアの全て。

裏も表も全13章にまとめました。

中欧社会で、現在望みうる最高の異文化交流の本です。

 スロヴァキアは、独立国となってまだ十余年しか経っていない。国土は日本の八分の一、人口は日本の二〇分の一という小国である。国際的な知名度も低い。しかしここに住む人たちは、自分の国を大国にのしあげようなどという野心を持たず、歴史的に見ても自らの意志で異国に攻め入ったり、他の民族を支配下に置いたりしたことはない。逆に、近隣の大国に長年支配されていたのだ。しかし、人々は明るい気持ちを保ち続け、貧しくとも陽気に暮らし、自分たちの文化を育んできた。強力な軍事力や国際政治での影響力を持たなくても、文化に依拠しながら一つの民族として歴史と現代を生き抜いている。その生き様を本書で描いてみたかった。そして、そこから日本社会に向けてどんなメッセージが発せられるかを、考えてみたかった。

                             

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スロヴァキア熱

まえがき  

プロローグ なぜスロヴァキアか

第1章  国土と歴史 

第2章 民族と言語  

「民族」の根拠/スロヴァキア語の系統/スロヴァキア語の形成/
スロヴァキア語の確立/「言葉」と「歌」 

第3章 音楽文化と歌好きな人々 

ヨーロッパ・スタンダードとスロヴァキア音楽/歌うスロヴァキア人/
集会の席での歌/歌による来客歓迎/
ポーランドとの比較――歌うスロヴァキア人、歌わぬポーランド人 

第4章 民謡のテーマ 

題材の地方性―ワインの歌、山賊の歌/兵役と民謡/
山間地で歌われる「ドナウ川」/民族の歴史と厭戦歌/
『おお牧場はみどり』の原詩と訳詩――似ても似つかぬ日本語バージョン/
『森へ行きましょう、娘さん』の原詩と訳詩/
原詩の日本的解釈――真面目な、あまりにも真面目な 

第5章 生活と価値観 

スロヴァキアは農業国か?/農村の様変わり/
人々の願望――物の豊かさから心の安らかさへシフト/
価値としての「心」=「ドウシャ」/価値としての「愛」=「ラースカ 」/
対人関係の最上の価値=「朗らかさ」 /価値の序列/感謝と遠慮の間
受身の姿勢――一種の遠慮の表現/状況に柔軟に対応

第6章 仲間関係と相互扶助 

近隣関係から仲間関係へ/仲間関係と助け合い――連帯の強さは日本人以上/
仲間たちの集い/贈物のやりとり/コネと贈収賄の文化

第7章 祝日・休日の過ごし方 

国民祝日と国民休日/クリスマスの風景/大晦日から元旦へ/
冬の楽しみ/復活祭と春の連休/夏の休日、秋の休日/連休の過ごし方

 

第8章 酒場の社会的機能 

地域社会と酒場/スロヴァキアの酒/一気飲みの伝統/酒場での話題

第9章 話題としての政治と性 

政治談議と政治参加/政談から性談へ/話題としてのセックス/
オープンな性談義/冷やかしと笑い

第10章 宗教と宗派 

国家と宗教/民衆の宗教意識/宗派別の分布/ローマ・カトリックとプロテスタント/
対立から共存へ/東方正教の特徴――歓びと楽しさが一番の価値/
ギリシャ・カトリックの生成――ルシン人の民族的アイデンティティの支柱/
ギリシャ・カトリックのその後/諸宗派の共存と協力

第11章 国民と民族 

国籍と族籍/主な少数民族――ハンガリー人に次いでロマが多い/
かつての覇者、ハンガリー人/中世からいたドイツ人/
ロマ/民族間の融合と共生

第12章 カルパチアの民

カルパチアの民、ルシン人/ルシン人の数と居住分布/
木造の教会とキリル文字の言語/ルシン人の文化活動/
独立ルシン派の主張/ルシン=ウクライナ派の主張/
「スラヴ人」アイデンティティの模索/ルシン人のメンタリティ/
民族差別はあるか

第13章 民族間の関係 

諸民族に対する親近観/チェコ人観/オーストリア人観/ドイツ人観/
ポーランド人観/ハンガリー人観/ウクライナ人観/ユダヤ人観/ロマ観 

エピローグ 時代の流れと文化の持続


石川晃弘(いしかわ・あきひろ)の略歴

1938年、千葉生まれ
1961年 東京大学文学部社会学科卒業
同大学大学院、東京都立大学助手、中央大学文学部講師、同助教授を経て
現在 中央大学文学部教授、社会学博士、プレショウ大学名誉博士、
日本スロバキア協会会長、日本チェコ協会理事
専攻 産業・労働社会学、中欧社会研究
主著(中欧に関するもの)
くらしのなかの社会主義―チェコスロヴァキアの市民生活―、青木書店、1977年
職場のなかの社会主義―東欧社会主義の模索と挑戦―、青木書店、1983年
東ヨーロッパ―人と文化と社会―、有斐閣、1992年
体制移行期チェコの雇用と労働、中央大学出版部、2004年(編著)


※この本は、本文には古紙100%の再生紙と大豆油インクを使い、
 表紙は環境に配慮したテクノフ加工としました。

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