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本書のサブタイトルは、「『自然エネルギーの選択肢』を我らが手に」というものです。そして、帯の謳い文句は「『政府の失敗』と『市場の失敗』を乗り越えて――誰もが言いたかったのに誰も言えなかったこと」というものです。
環境問題は裾野が広く、狭い専門領域からだけでは本質を見極めることがむずかしく、表立っては言いにくいことを、目配りよろしくあちらの事象、こちらの事象を論証しながら言い当てることは、日頃の活動の広さがものを言います。その意味でも、待ちに待った著者の登場と言えるでしょう。
以下にご紹介する二つの文章にもありますが、脱化石燃料、脱原発とスムーズに再生可能エネルギーにウエイトを置こうとしない国のエネルギー政策の現状に対する現実即応型の「提案」を、ブックレット形式の読みやすい本書で、ぜひお読み下さい。
阿部泰隆氏(中央大学教授・弁護士)推薦
CO2等、温室効果ガス対策は、「京都議定書」以来、国際的公約ですが、政府の対策は総花的で、焦点が定まりません。効果も疑問です。ポイントは、石炭火力発電所です。そこで、炭素税を導入すれば、石炭火力等の化石燃料の使用を減らし、国際的に貢献できます。炭素税は、今日たくさん負担しているエネルギー関連税を組み替えるだけなので、国民全体の負担は増えません。権力ではなく、経済的なインセンティブで、人々を自然と温室効果ガス削減へと誘導します。本書は、この法と政策問題を分かりやすく解明しています。
月刊雑誌『クーヨン』(2009.6)Petit Journey 収載
2008年、京都議定書の第一約束期間がはじまった。しかし、日本のCO2排出量は増加し…。
地球温暖化などの環境問題は、もはや個人や企業の自主的取り組みに任せるのは非現実的。石油や石炭といった化石燃料によるエネルギー供給を減らし、自然エネルギーを促進していくにも、環境税を導入することが必至と、著者。CO2削減となると原発推進となりがちだが、安全面に疑問だらけの原発ではなく、持続可能なエネルギーへ。その言葉にも納得。
A5判・102ページ
定価1,050円(本体価格1,000円) ISBN978-4-907717-98-8
──CO2削減の100のヒント
ISBN978-4-907717-40-7
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社説と称して掲げる私記 30
「ありがとう! ありがとう! こうして生き永らえていられるのは、宇宙を統(す)べる大いなるもの(サムシング・グレート)のおかげです」と素直に思える年代になった。そう思える、幼少期の頃からの思い出を手繰ると(ああ、年だねと言われそうだが)、あのシーン、このシーンが、(似たような現実の場面を見聞するに及んで)急にスイッチオンになって思い浮かぶ…。ただ、ありうべからざる僥倖(ぎょうこう)の連続の上に、今があることを思い知るのみである。
だが、「多幸症」気味に、「ありがとう! ありがとう!」と、だれ構わず、大いなるものに捧げるこの謝意の意味合いを、他人にはストレートにわかっていただけるであろうか。といって、この個人的な感情を他人に押し付けるつもりはない。痛みと同様、他人には分かりえない感慨であろう。しかしながら、この多幸症気味の感情は、うつ病気味の感情よりは、人生を肯定する意味合いにおいて、多とすべきであろうか。
うつ病といえば、あのむずかしい「欝」という字を、そらで書ける人は、そうそういない。意識的に一生懸命覚えた人か、天性の記憶力の持ち主か。ともあれ、むずかしい文字の書き手は、それを書けない人に一目置かれることはまちがいない。
ところで、何を言いたいかといえば、作家の辺見庸さんが常々言われている「無意識の荒び」という聞き捨てならない言葉のことだ。「欝病」が、平仮名で「うつ病」と書き表わされるほど、めずらしい心の病でなくなったこの時代ならではの鋭い指摘と思うからである。
時代の保護色を強いられるこの時代にあって、まっとうに生きている人ほど、生活の根底の部分でさまざまな軋轢が生じるであろうことは、容易に想像できる。それを「ないことにして」生きることは、おそらく「無意識の荒び」を己のうちに抱えることになるのであろう。
「あるもの」を「ないことにして」生きること、無意識の「見ざる聞かざる言わざる」を押し通すことは、普通の神経の持ち主には、やはり困難極まることであろう。時代は、個人情報保護の掛け声とは裏腹に、見えざる監視体制が強化され、それだけものが言いにくい雰囲気が醸し出されているのであろう。売らんかなのマスコミの情報に踊らされず、物事に対するイエス・ノー(諾否)をしっかりと心に決めて、静かなアッピールをしようではないか。
例えば、世界は今、いかに温暖化に立ち向かうのかの人類的課題に向かっている最中に、日本はすぐれてローカルな次元で内向きの論理、高度経済成長時代の後ろ向きの思い出に翻弄されている。まっとうな人をして「うつむき加減」にさせる社会のありかた、否、半永久的に核のごみを残すエネルギー政策(製作とも読める)など、あるべき社会に進む方向性に対しては、しっかりと目を向け、20年、50年後を見据えた正しい環境論議を巻き起こしたい。
いつまでたっても、「文明の転換点」(地下資源が枯渇する)をわきまえずに、そのまま相変わらず「景気回復」を繰り返し唱えているだけでは、新しい「いのちの文明」(化石燃料に頼らない)に転換することは困難であろう。それでも私たち国民が、従来どおりに流され行く、右往左往のドタバタを続ければ、この国は、最悪、「エコノミックアニマルの化石」が埋もれた国として歴史に名をとどめることにならないか。そうならないためには、目下の日本人が持っている「環境先進国」の幻想を捨て、一日も早く環境に正しい方向へ舵を切ることである。一人ひとりの判断力が試される総選挙の日も近い。国土にも、政治にも、組織、そして地域にも気持ちのいい風が吹く日が来ることを期待したい。
虹を見てかくあれかしと祈る夕 山々
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